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子育てって、たのしい!

愛情たっぷりでラクチンな子育てを目指して

第1子出産の記録(入院から)

道中、羊水の更なる流出を阻止するために狭い軽自動車の助手席をうしろに倒そうとするが、既にとりつけてあったチャイルドシートのせいで全然倒れずに泣きたくなる。入院してから退院までに旦那が一人でとりつけるのは大変だろうし、なにより初めて扱うものだから安全に設置できているか二人で確認していた方がいいだろうと数日前に二人でつけたのだが、この万全すぎる準備がアダになるとは思ってもいなかった…

やっとの思いで病院にたどり着くと、すぐに診察室に通され、「あー破水だねー破水破水」と軽い感じで言われる。もしかしてすぐに産めるんじゃないかと少し期待していたのだが、子宮口の開き具合を聞くと「1センチぐらいかなー」と言われ、まだそんなもんかと拍子抜けした。正確な破水の時間を聞かれたり、破水前の痛みの強さを聞かれたりしながらあれよあれよと持参したパジャマに着替えさせられ、NSTと抗生剤の点滴(私はGBS陽性だった)を開始。その後個室に移り、適宜NSTで様子を見ながら分娩が進むのを待つこととなった。

余談だが、私が入院したときにはなんと満室だったらしく、「部屋が空いてなくてごめんね~」と、『LDRルーム*1』の隣の『陣痛室』という普段は入院する部屋ではない小部屋に通された。その日は新月に近い日だったのだが、「満月になると出産が増えるっていうのはよく言うけど、新月もなのよー。つい数日前まではガラガラだったのに」と助産師さんが疲れたようにつぶやくのを聞き、「へ~」と思った。

ひとまず羊水の量は大丈夫だったようで安心する。逆子とかじゃない限り、破水したからといって別段緊急性のあるものではないらしい。しかし、破水からのスタートだと感染のリスクもあるし、陣痛が自然に来なくてもたぶん今日中に誘発して出産になるんだろうなぁなどと冷静に思っていると、痛みが段々と強くなってくる。旦那は朝から仕事の予定だったのでその小部屋の畳の床で寝てもらったのだが、少しずつ強くなる痛みで私がゴソゴソと動き回るので、何度も起こしてしまった。そのたびに「大丈夫?」などと眠そうに声をかけてくれるのだが、段々それも鬱陶しくなるほど痛みが強くなってきて、返事もそこそこに、立ったり座ったり、点滴の支柱台にすがったりして痛みを紛らわせていた。たまに助産師さんがやってきてNSTの機械をつけられたのだが、正確にみるためにと強制的にベッドに寝かされるのが、毎回苦痛でたまらなかった。。

しかも、子宮口の開き具合やNSTの結果をみて「あーまだまだだねーもっと痛み強くなるよ。早ければ夕方くらいかな」なんて言うもんだから、卒倒しそうになる。今でも5分以内の間隔で冷や汗が出るほど痛い(というか恐い)というのに、これ以上の痛み(というか恐怖)がこれから12時間以上も続くのか…!!!

正直、陣痛の波が来るたびに「もう出産やめたい」と何度思ったかしれない(「産みたいけど!」というのがセットになって何度もぐるぐるしていた)。でも、言葉にしてしまうと何かが壊れてしまう気がして、ただただ呻きながらマットレスの端っこを握りしめて朝を迎えた。

気付くと旦那が上司に連絡して仕事の調整をしてくれており、なんとか休みをもらえたと聞いて涙が出そうになった。陣痛が来るまでは「旦那なんて何の役にも立たないだろうから別にいてもいなくてもいいやー」なんて思っていたのに、こんなにも旦那を頼もしく感じるとは。

その後、いつの間にか助産師さんがマッサージをしてくれていたのだが(朦朧としていて誰がいつからやってくれていたのか全く覚えていない)、そうそうそこそこ!と感動さえ覚える絶妙なテクニックで、それは私にとってまさに神の手であった。

途中から助産師さんに軽いレクチャーを受けて旦那が交代したのだが、やはり神の手には遠く及ばず、先程まで頼もしく思っていた旦那に文句ばかり浴びせていた。それでも旦那は何も言わずにひたすら私の言う通りにマッサージし続けてくれ、本当に本当にありがたかった*2

10時頃、疲労でウトウトしていると、突然いきみたい感覚で目が覚めた。これまでの痛みとは違うので一瞬ハッとするものの、すぐに治まりまたウトウトする。するとまたすぐ、今度は猛烈にいきみたくなり、これは我慢できん!とナースコール。来てくれた助産師さんがNSTのグラフをみて「うーん、まだだね~」と首を傾げながらも「ま、分娩室空いてるし移動だけしとく?」とLDRルームまで連れて行ってくれた。移動途中で再び猛烈にいきみたくなったが、「この子を守ってあげられるのはお母さんだけなんだよ!!!」という言葉で、なんとか持ちこたえられた。助産師さん、すごい。

ちなみにその後の「今のうちにトイレ行っとく?分娩台で導尿にする?」という問いには「導尿で」と即答し、軽く笑われたことを付け加えておく。

 

ここからが早かった。

よろめきながら這い上がった分娩台で、一応、と言われながら内診されると、「あ!えっ?もう9センチ!」「うそーすごい!」「早い早い!」「この子早かったわー」などという声が突然飛び交い(このときのことはものすごく嬉しかったのでめちゃくちゃ覚えている)、その後10分ほどで子宮口全開大、いきみ解禁となった。

私の中では陣痛よりも子を出すときの方がツラいというイメージだったのだが、いきんでいいと言われてからは喜びの方が勝り、少し余裕ができて、陣痛の合間に助産師さんの動きを観察などしていた。

 

そして遂に10時50分、排臨。

 

11時、発露。このとき、助産師さんに手を伸ばしてみな、と言われ、子の頭を初めて触った。何とも言えない変な気持ち。

 

11時10分、頭が完全に出たのち、肩も少しずつ出ていき、突然、ぬるんと生温かいものが一気に抜ける感覚。ふにゃふにゃした、しゃがれた小さな可愛い声。子が、この世に誕生してくれた瞬間だった。

あぁ。あぁ。遂に終わったんだ。なんだか夢のようだった。

頭もとにいた旦那を見上げると、顔を背けた。泣いているようだった。

 

おなかの上にわが子が乗せられ、あたたかな重みを感じる。

わが子と初めて両手をつなぐ。旦那がへその緒を切り、私はそれを眺めていた。

 

11時17分に胎盤娩出。 

その後、気付かぬうちにできていた会陰裂傷を縫ったのだが、これが猛烈に痛い!そして長い!

一気に現実に引き戻される。

この先生絶対縫うの下手でしょ!高齢やし!

などと失礼なことを頭の中でキーキー言いながら、横で身体検査を受ける小さなわが子を見て気を紛らわせた。

 

こどもが別室に移されてから、寝たまま体を拭いてもらって服を着替え、朝一番で田舎を出てやってきた母親も入室し、一緒に胎盤を見せてもらった。

肌着を着てネームタグをつけ、私の名前がしっかり足に書かれたわが子が戻ってくると、大絶賛しながら写真を撮りまくり、無事に出産を終えたことを皆に報告し、興奮冷めやらぬまま昼食を食べた。

産後2時間ほどベッド上で過ごした後、わが子は再び別室へ。

私は助産師さんと一緒にトイレまで歩いて、排尿の確認をし、「大丈夫そうやね!」と太鼓判を押されて最初の陣痛室に帰された。

 

狭い陣痛室で、旦那と私の母親、そしてもはや当面は陣痛に苦しむことのない私の3人で、この上ない幸せを噛みしめる。

長いようで短かった初めての妊娠生活が、終わった。

 

*1:陣痛、分娩から産後の回復まで、移動せずに過ごせる個室。他の病院はわからないが、私がお世話になったところは緊急帝王切開とかもそこでできるみたいだった。

*2:後に聞いたが、数時間で両手首が軽い腱鞘炎になったらしい